苦手科目というのは、できれば勉強せずに避けていたいものですが、受験科目に入っている場合はそうも言っていられません。
本項では、この苦手科目とどのように日々向き合っていけば良いか、その心構えを考えてみます。
毎日やる
前項でお話ししたように、苦手科目は伸ばすのが難しく、初歩レベルの勉強をじっくりこなして底上げするのが精一杯です。
「初歩レベルの勉強だけやれば良くて、高得点も初めから望まない」となると、苦手科目にはあまり時間を割かなくても良いということか? と感じる方が出てくるかもしれません。
しかしこれが違うのです。苦手なればこそ、毎日たくさんやるのです。
苦手科目とは、バックにギアが入った車のようなもの。放っておけば、現状維持どころか、どんどん後退していきます。それを食い止め、少しでも前に進ませるため、常に渾身の力で引っ張らなければいけません。
やってもやってもほとんど伸びてくれない苦手科目にがっかりすることもあるでしょう。しかし、毎日地道にやっていれば、少しは伸びるんですよ。それが「底上げ」です。
得点源にはならなくても、最低限、得意科目の足を引っ張らない程度に成長させることを目指して、苦手科目に毎日取り組みましょう。
その結果、もしかしたら、予想外にグンと伸びて、総得点大幅アップに貢献してくれる科目になるかもしれませんよ。
基礎固めに徹する
前項でも少し書きましたが、苦手科目の場合、無理して難しい問題集を解く必要はありません。
現状に焦って、「このくらい難しい問題を解けるようになりたい!」と背伸びして応用的な内容の問題集に手を出したくなりますが、そこはぐっとこらえ、基礎固めに徹しましょう。
苦手科目というのは、基礎ができていない場合が多いのです。基礎が穴だらけなのにその上に家を建てれば崩れてしまいます。
まずは、堅牢な基礎の構築を目指しましょう。家を建てる(応用的な問題集に挑戦する)のは、基礎ができて、まだ余力があった場合です。
私は自宅浪人生活に入って、苦手な数学を教科書からやり直しました。Ⅰ、A、Ⅱ、B、四冊の教科書を一通り終えるのに四ヶ月を費やしました。
この基礎固めのおかげで、非常な低得点というのを取らなくなりました。
苦手科目の勉強=苦手な人とのつきあいと同じ
「各科目とのつきあいは人付き合いと似ている」と、私は浪人時代に思っていました。
得意科目は自分と気の合う人で、苦手科目は気の合わない人です。
気の合う人とは、一緒にいて楽しいし、短い時間のつきあいでもうち解けてお互いを理解することができます。
しかし気の合わない人とは考え方や価値観が違うので話も合わず、イライラしたりすることもあるでしょう。
人間同士ならば疎遠になることもできます。しかしこの、気の合わない人(=苦手科目)とも必死にうまくやっていかなければいけないのが受験勉強というやつなのです。
苦手だからと疎遠にすれば、限りなく最低点しか取れなくなります。
だから、苦手科目と親しくなれるよう、毎日会って話をする(=勉強する)のです。
こいつとはわかりあえないと思いながらも、でもどうにか理解したい、少しでも仲良くなりたいと願いながら、必死にはたらきかけます。
そうこうしているうちに、相手もこちらの熱意にほだされて、態度を軟化させます。
元々気が合わない相手なのですから、受験当日までその溝が完全に埋まるということはないかもしれませんが、それでも毎日の苦労が築き上げたそれなりの間柄が助けとなります。
避けられない苦手科目だからこそ、親しくなる努力をして苦手意識を和らげましょう。そうすれば、苦手科目を受験するときの緊張も薄らぎます。
苦手科目も精一杯努力しておくことが大事
具体的には、私の場合数学が苦手だったのですが、ⅠAとⅡB合わせて、毎日3時間~4時間必ずやりました。
他の科目をやらない日があっても、数学だけは毎日やったのです。
数学は苦手ゆえ勉強のペースが上げられません。その勉強の進みの遅さを、時間を多く費やすことで補ったのです。
結果、一浪後のセンター試験において、ⅠAは、現役時代には夢のような高得点が取れました。
ⅡBは現役時とほぼ同じ点数で、一年間の勉強が結果に反映されない感じで終わってしまったのですが、現役時のような「もっと勉強をしておけば良かった……」という暗い後悔はまったくなく、「あれだけやったのにどういうことだ!」 と、笑ってしまいました。
未練はありませんでした。よっぽど自分はⅡBが苦手なんだなと納得しました。
苦手科目だからと逃げていては、後悔します。結果はどうあれ、精一杯頑張っておくことが大切です。
「後悔しない」ことを目標に、できるだけのことをやっておきましょう。
また、苦手なことに根気強く取り組んだ経験によって育まれた忍耐力は、大人になってからも人生の助けになりますよ!
次項、今度は「得意科目の伸ばし方」を見ていきます。